黑料传送门

东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

つきあげられた拳のイラスト

书籍名

危険な言语 エスペラント弾圧と迫害の歴史

着者名

ウルリッヒ?リンス (著)、石川 尚志、佐々木 照央、 吉田 奈緒子、臼井 裕之 (訳)

判型など

496ページ

言语

日本语

発行年月日

2025年9月17日

ISBN コード

978-4-336-07790-5

出版社

国书刊行会

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

英语版ページ指定

英语ページを见る

本書は、Ulrich Lins, La dan?era lingvo: Studo pri la persekutoj kontra? Esperanto, Rotterdam: Universala Esperanto-Asocio, 2016の全訳である。副題が示すとおり、19世紀末に国際語として考案された言语「エスペラント」に対して様々な地域で発生した弾圧や迫害と、その苦難をくぐり抜ける過程で、エスペラント使用者たちの共同体で育まれ、実践されてきた文化や思想について記録した歴史書である。
 
着者のウルリッヒ?リンスはドイツ出身の歴史学者で、若くしてエスペラントを习得し、世界エスペラント协会を中心とする组织的运动の中核を担ったほか、エスペラントによる研究成果の発表も数多い。日本研究を自身のフィールドのひとつとしていることもあり、日本との縁も深い人物である。
 
本書の発端となったのも、京都で発行されていたエスペラント雑誌での連載 (1971~1973年) だった。この連載の増補版を、チェコ文学者の栗栖継が日本语訳したのが岩波新書の『危険な言语:迫害のなかのエスペラント』(岩波書店、1975年) で、日本语で読める貴重な文献のひとつとして参照されてきた経緯がある。
 
エスペラントとは、ユダヤ人眼科医のルドヴィコ?ザメンホフが1887年にワルシャワで発表した国际语である。ロシア帝国による支配と、ヨーロッパを覆っていた反ユダヤ主义という二重の経験の中で、ザメンホフは人类の分断を乗り越えるための手段としてエスペラントを考案した。

19世紀?20世紀転換期の西ヨーロッパを中心に始まっていた国際化の進展を背景として、もとより優れた設計を備えていたエスペラントは世界各地に使用者を広げていきながら、ザメンホフが言语に込めた理想主義や、時には共産主義やアナキズムなどの思想を、言语の壁を越えて伝播する役割を果たした。エスペラントの普及を目指す文化運動である「エスペラント運動」は、こうした動きを後押しする基盤として世界各地のエスペラント使用者たちによって支えられ、現在に至るまでその命脈を保っている。
 
本書は3部構成である。第1部では、エスペラントの誕生から第一次世界大戦前後のヨーロッパでの展開が、いわば前史として記述される。本論の中心を成すのは、第一次世界大戦以後 (とりわけナチズム期) のドイツでの状況を扱った第2部と、ソビエト連邦でのエスペラント運動の趨勢を叙述した第3部である。
 
一読して印象に残るのは、多くは无名の市民たちによる、ごくささやかな活动であるエスペラント运动に対して向けられた、権力者からの激しい敌意と警戒、そしてそうした感情に基づいて実行された弾圧の凄惨さである。着者は、ナチ?ドイツやソ连の公文书をはじめとした膨大なアーカイヴを精緻に読み込んでいきながら、その弾圧の背景にあった当局者の思想や动机を明らかにしていく。本文の整然とした论述はもちろん、本书全体の合计で1,400を越える註は、着者の长年にわたる资料调査の彻底ぶりを示している。
 
合わせて兴味深く、また胸を打つのは、极限的な状况の中でも発挥された、エスペラント使用者どうしの人间的な连帯の姿である。エスペラント使用者たちは、组织的な运动が瓦解した后であっても、理不尽な迫害を受ける仲间を危険を冒してかくまい、収容所で秘密里にエスペラントを学び、国际文通によって恐怖政治の実情を内密に伝えようとしていた。
 
それは、着者が结论でも强调しているとおり、国籍や民族という境界を自分から越え出ていこうとし、他者と対等で友好的な関係を结ぼうとする、エスペラントを学ぶ人たちの実践の根源にあるエネルギーと积极性の発露であったに违いない。こうしたエネルギーや积极性は、本书の记述にも反映されている。註を参照すると、迫害と弾圧の时代を生き延びた当事者からの闻き取りに基づく叙述が少なくないことに気づかされる。着者自身もまた、长年にわたりエスペラントを実用しながら、越境の実践とともに多様な他者たちとの関係を作り上げてきた人物であることが、本书の记述そのものからうかがえるのである。

エスペラント運動史という本書のテーマは周縁的にも感じられるかもしれないが、その内容は、幅広い読者の関心に応えてくれるはずである。平和運動をめぐる様々な思想課題や、言语と権力、ナショナリズム、レイシズムなどとの関係性といったより大きな主題に触れた記述は、本書のあちこちに登場する。20世紀ヨーロッパを中心とした、全体主義社会における民衆文化史、あるいは国際交流史として本書を捉えることもできるだろう。エスペラント学の基礎文献である本書が、かつての岩波新書版と同じように、多くの読者に参照されることを望みたい。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 助教 相川 拓也 / 2026)

本の目次

 はじめに

◆1 新しい言语に向けられた疑念
 1-1 ザメンホフとエスペラントの诞生
 1-2 帝政ロシアの検閲下で味わった产みの苦しみ
 1-3 西欧への进出
 1-4 エスペラントの思想的侧面
 1-5 第一次世界大戦以前に直面した障害
 1-6 国际连盟におけるエスペラント
 1-7 労働者と「中立主义者」
 1-8 一九二〇年代の迫害

◆2 「ユダヤ人と共産主義者の言语」
 2-1 ヴァイマル共和国におけるエスペラント
 2-2 新たな敌の台头
 2-3 「均制化」
 2-4 エスペランティストのナチ党员たち
 2-5 禁止への道
 2-6 エスペラントは単なる言语か
 2-7 ナチ?ドイツのモデルにならって
 2-8 中立主义エスペラント运动を健全化した教训

◆3 「プチブルとコスモポリタンの言语」
 3-1 ソ连におけるエスペラントの繁栄
  3-1-1 革命后の期待
  3-1-2 厂础罢と厂贰鲍――多元主义と统一戦线
  3-1-3 エスペラントによる国际教育の取り组み
  3-1-4 阶级闘争の激化とエスペラントの「悪用」
 3-2 分裂と终焉
  3-2-1 无民族主义
  3-2-2 厂础罢の分裂
  3-2-3 スターリン体制确立期におけるエスペラント
  3-2-4 ソ连のエスペランティストの沉黙
 3-3 社会主义と国际语
  3-3-1 革命前の国际主义という问题
  3-3-2 レーニンと民族问题
  3-3-3 マルクス主義言语科学をめざして
  3-3-4 エスペラント化に反対するスクリプニク
  3-3-5 ロシア语论争
  3-3-6 无益な空论
 3-4 ソ连でエスペラントが死灭した理由
  3-4-1 一九叁七~叁八年に何が起きたか
  3-4-2 大粛清下のエスペランティスト
  3-4-3 ソビエト爱国主义の出现
  3-4-4 国际文通の成功と限界
  3-4-5 文通の终焉
 3-5 第二次世界大戦の后に
  3-5-1 东欧における大いなる沉黙
  3-5-2 スターリンのマル批判
  3-5-3 时代の要请
  3-5-4 运动の再生
  3-5-5 东欧――问题を抱えつつも前进
  3-5-6 ソ连――希望と疑いの间で
 むすび
 訳者あとがき

 参考文献
 関连年表
 略语一覧
 注
 事项索引
 人名索引
 

関连情报

书评:
千田俊太郎 (京大教授) 評 (『産経新聞』 2026年2月8日)

 
楊逸 (作家) 評「エスペラントの歴史から「言语とは何か」を考える」 (『エコノミスト』Online 2026年1月16日)

 
本の森 「危険な言语」ウルリッヒ?リンス著 石川尚志ほか4人訳 (『日刊ゲンダイDIGITAL』 2026年1月16日)

 
平出隆 評 (『日本経済新聞』 2025年10月25日)

 
书籍绍介:
本?产业 (『中外日報』 2026年1月26日)

 
書籍『危険な言语――エスペラント弾圧と迫害の歴史』のご案内 (『東京外語会』 会員便り 2025年10月10日)

 
イベント:
[NEW!]『危険な言语』刊行記念トーク 境界をはみ出す声のゆくえ (ヨーロッパ研究所 2026年4月24日)

 

このページを読んだ人は、こんなページも见ています