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東京大学学術成果刊行助成 (東京大学而立賞) に採択された著作を著者自らが語る広場

薄紫の表紙

书籍名

天皇の军事辅弼体制 元帅と戦争指导の政治史

着者名

判型など

368ページ、础5判、上製

言语

日本语

発行年月日

2025年3月31日

ISBN コード

978-4-8158-1192-1

出版社

名古屋大学出版会

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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近代日本の天皇がどのように军を统制しようと试みたのか、それに対して陆海军はどのように対抗し、天皇からの自律化を目指したのか。
 
これは本書の冒頭で掲げた問いである。だが、中学?高校の日本史の授業で近代史を学習した方は、この問いに少し違和感を覚えるかもしれない。近代日本では、天皇が大元帥として統帥権を掌握したが、軍の統率は内閣や議会から独立する大権だと位置づけられていた。戦前の軍部は、「統帥権の独立」制度や「天皇の軍隊」というイデオロギーを盾に政府 (内閣) や政党、議会に対抗し、また軍内部の「下剋上」と呼ばれるような若手?中堅将校による上層部への突き上げを通して、その政治的発言力を増幅させていった。こうした政府や政党に対抗する構図で語られがちな戦前の軍部が、最高司令官である天皇に対抗するというのは、一見すると矛盾しているように映るかもしれない。
 
しかし、军部が政府に対抗する政治的正当性の根拠である统帅権の内侧では、军部を统制しようと试みる天皇と、政府だけでなく天皇からも自律性を确保したい军部との间の紧张関係が伏在していた。例えば、昭和天皇が国际协调路线や戦争回避を志向し、军の统制を试みたことや、戦时期に积极的に戦争指导に乗り出したことはよく知られている。だが、実际には大元帅である天皇であっても军の政治的台头や「戦争への道」を止めることはできなかった。
 
「あとがき」にも记したが、本书の问いを突き詰めれば「军の最高司令官であるはずの天皇は、なぜ&谤诲辩耻辞;军部の暴走&谤诲辩耻辞;を止められなかったのか?」、「上下関係や规律に厳しいはずの军队という大きな组织が、なぜ上からの统制を大きく逸脱していくようになったのか?」ということになる。
 
従来の政军関係史は、政府や政党?议会と军部との间の自律性をめぐる紧张関係について考察が试みてきた。これに対して本书は、近代日本の政军関係の前提である统帅権や「天皇の军队」の内侧に焦点を当てたところに特色がある。
 
とりわけ本書では、天皇の軍事最高顧問として、枢密院と並び評される機関だった元帥府とその構成員の元帥に注目した。個々の元帥では山県有朋や大山巌、東郷平八郎などが有名だろう。元帥府は陸軍省?海軍省(軍政機関)や参謀本部?軍令部 (軍令機関) から直接的な統制を受けずに天皇に助言できる輔弼機関だった。そのため天皇が重要な軍事事項を決定するとき、陸海軍省部の上奏だけではなく、元帥府や元帥個人に積極的に助言を求め、裁可の判断材料にしていた。
 
近代日本の天皇が元帅府を如何に活用し、军部への统制や戦争指导にイニシアチブを発挥し得たのか、それに対して陆海军省部が元帅府をどのように军事辅弼体制から排除し、天皇の军事指导から自律化しようとしたのか――本书は、元帅という军长老集団からなる军事辅弼体制を媒介に繰り広げられる天皇と陆海军との间の紧迫した攻防や歴代天皇の军事指导スタイルなどに注目し、これらを明治期から昭和戦时期にかけて通史的に描くことで、前述の问いに迫る。
 
近代天皇制 (あるいは君主制) や戦前の政軍関係などに興味がある方はぜひお読みいただければ幸いである。
 

(紹介文執筆者: 飯島 直樹 / 2026年3月31日)

本の目次

序 章 天皇と陆海军の近代史
     1 問題の所在 —— 政軍関係史のなかの天皇
     2 課題と分析視角 —— 陸海軍の自律化をめぐる天皇-軍関係
     3 先行研究と本書の構成
       &尘诲补蝉丑;&尘诲补蝉丑;「天皇の军队」をめぐる政治史的?军事史的研究の接合
 
  第I部 天皇の军事辅弼体制と軍統制
 
第1章 明治天皇の军事指导と军事辅弼体制の始动
      —— 元帥府?軍事参議院の成立
     はじめに
     1 元帥府設置以前の軍事輔弼体制
     2 元帥府の設置?運用と陸海軍対立
     3 軍事参議院の設置と元帥府改革構想
       —— 軍事輔弼体制再編の試み
     おわりに
第2章 大正天皇の第一次世界大戦
      —— 戦争指導の実態と軍事輔弼体制
     はじめに
     1 大正天皇の登場と軍事輔弼体制
     2 大正天皇と第一次世界大戦
     3 大正天皇と軍事輔弼体制の親和性
     おわりに
 
  第滨滨部 陆海军の军事辅弼体制と军统制
 
第3章 军政优位体制と军事辅弼体制の相克
      —— 陸軍の軍事輔弼体制再編とその影響
     はじめに
     1 元帥個人への公式下問停止問題
     2 「臣下元帥」生産凍結論と陸海軍
     3 陸軍による軍事輔弼体制再編と海軍?宮中
     おわりに
第4章 陆海军「协同一致」の论理の动揺
      —— ロンドン海軍軍縮条約の衝撃
     はじめに
     1 日露戦後の元帥府と軍事参議院の機能
     2 ロンドン海軍軍縮条約批准時の陸海軍連携
     3 海軍単独軍事参議会開催とその影響
     おわりに
第5章 陆海军の统制力强化构想と「臣下元帅」
      —— 最後の「臣下元帥」東郷平八郎と陸海軍
     はじめに
     1 最後の「臣下元帥」東郷平八郎と海軍の軍事輔弼体制
     2 昭和天皇と「皇族元帥」
     3 2?26事件と軍事参議官
     おわりに
第6章 戦时期の元帅府復活构想と昭和天皇の戦争指导
      —— 戦争指導体制と軍事輔弼体制の交錯
     はじめに
     1 皇族総長更迭と元帥府復活構想
     2 太平洋戦争期における「臣下元帥」再生産論の台頭
     3 戦争末期の戦争指導体制と元帥府復活構想の帰結
     おわりに
终 章 近代日本の天皇と「军部」
     1 天皇の军事辅弼体制
       —— 明治天皇?大正天皇の軍事指導と陸海軍
     2 陸海軍の軍事輔弼体制
       —— 陸海軍の自律化と昭和天皇の軍事指導
 

関连情报

受赏:
第5回東京大学而立賞受赏 (東京大学 2024年) 
/ja/research/systems-data/n03_kankojosei.html
 
书评:
手嶋泰伸 評 (『歴史評論』909号 2026年1月)


玉木寛輝 評 (『図書新聞』第3712号 2025年11月22日号)
 
本よみうり堂: 福間良明 (歴史社会学者?京都大教授) 評「「軍部」自律化への変遷」 (『読売新聞』朝刊 2025年6月15日)